長らく「こぼれ話」をこぼさずにいた間に、文化庁では「公認日本語教師」資格創設に向けた議論が進んでおります。令和6年以降に全面施行が予定されている「公認日本語教師」の資格ですが、検討が続く「公認日本語教師」について、現時点までの議論をもとに、ポイントをお伝えしていきたいと思います。

  • 【ちょっと予備知識】~資格創設の検討がスタートした経緯~
    2020年3月に文化審議会国語分科会日本語教育小委員会が取りまとめた「日本語教師の資格の在り方について報告」(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/92083701_01.pdf)において、 日本語教師の質、量、多様性の確保と、日本語教師の資質と能力を証明するために「公認日本語教師」という国家資格創設が提言されました。そこで、資格の詳細を検討すべく「日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議」が設置され、2020年7月から検討が続けられており、現在も進行中です
  • 【ポイント1】~国家資格としての「公認日本語教師」資格~
    「公認日本語教師」は国家資格としての創設が検討されています。文部科学省のホームページでは、国家資格について下記の通り説明があります。

「国家資格とは、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。」

つまり「公認日本語教師資格」という国家資格の創設により、日本語教師という職業も、社会的地位の保証、社会からの信頼に繋がるものと期待されます。

  • 【ポイント2】~「名称独占資格」とは何か?~
    「公認日本語教師資格」ですが、国家資格の中の「名称独占資格」として創設が検討されています。
    そこで、「名称独占資格とは何か?」についてお話しします。国家資格には、業務独占資格/名称独占資格/設置義務資格/技能検定があります。今回は、「業務独占資格」と「名称独占資格」の違いに注目したいと思います。

「業務独占資格」とは……?
有資格者以外が携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格です。
無資格でその仕事(業務)を行うと法律違反となります。
例:医師、弁護士、建築士など

「名称独占資格」とは……?
有資格者以外はその名称を名乗ることを認められていない資格です。
その資格を持たない人も、その仕事(業務)を行うことは出来ますが、その名称を名乗ることは法律違反となります。
例:保育士、調理師、栄養士など

先にもお伝えしましたが、「公認日本語教師資格」は後者の「名称独占資格」として創設が検討されています。つまり「公認日本語教師」の資格を持っていなくても、現職の日本語教師の先生方は、引き続き、日本語教師として働き続けることは可能です。もちろん現職の先生方でも、「公認日本語教師」としてのキャリアを希望する場合には、新たに創設される資格取得にチャレンジすることを視野にいれておく必要があるでしょう。

次回、資格要件などについてお伝えしていきたいと思います。

※この記事は、2021/5/17時点での情報をもとに書かれたものです。