6月21日、「日本語教育推進法」が参院本会議で可決・成立しました。
以前の記事にも日本語教育推進法の目的と基本的施策について書きましたが、
同法は外国人に対する日本語教育に関する初めての法案です。

日本語教育は日本語学校に通う留学生だけを対象に行われるものではありません。
学習者の多様化に伴い、日本語教育の場も日本語教師の活躍の場も多様化しています。

【外国人児童生徒】に対する日本語教育
「日本語教育推進法」は小学校や中学校に通う外国人児童生徒に対する日本語教育や教科指導の充実も求めています。
日本語が指導できる教員の養成や配置、支援員の配置などの制度の検討も今後なされていくでしょう。
小学校、中学校も日本語教師の活躍の場となっていくことが考えられます。

【外国人学生】に対する日本語教育
「日本語教育推進法」は大学などの外国人留学生に対する日本語指導についても明記されています。
大学に入学はしたけれど、授業のレポートや論文を書くことに苦戦する学生は多くいます。
また、就職活動を行う際の外国人学生へのサポートが十分ではなく、
履歴書やエントリーシート、自己PRの書き方や面接の受け方がわからず本来の能力を発揮できない学生もいます。
「日本語」だけの指導ではなく、レポートの書き方や就職活動の慣習なども日本語指導には含まれます。

【外国人生活者】に対する日本語教育
「日本語教育推進法」は地域における日本語教育の支援の充実も求めています。
家族の帯同で来日した場合、全く日本語が話せず、日本語学習の機会も十分にないまま暮らしている外国人も多くいます。
例えば、公共料金の請求書が届いたけれど何が書いてあるかわからない、
対面式のお店では買い物ができないなど、日本語学習の乏しさが日常生活の支障となりえます。
地域の日本語教室は、日本語だけではなく日本社会の文化を学び、また日本人と交流できる場となります。

上記以外にも、日本語教育を学んだ人が活躍できる場所は、
留学生を受け入れる日本語学校、外国人を雇用する企業など多岐に渡ります。
加えて、「日本語教育推進法」は海外における日本語教育の機会拡充も盛り込んでおり、
渡日前の外国人に対する日本語教育や、現地の外国人日本語教師に対する養成・研修などの需要も高まっていくでしょう。

日本語教育の広がりは、日本語教師の活躍の場の広がりです。
日本語教育という専門的知識だけでなく、ご自身のバックグラウンドもいかして、
日本語教師としてご活躍いただければ幸いです。